比ー2 ~比を簡単にする~

比:等しい比

この記事は授業用記事です。保護者の方が「子どもが『わからない!』というので教え方を知りたい」というような方を想定しております。詳しくはこちらをご確認ください。


前回は比とはどんなものかを紹介しました。
今回は比を学ぶ上で絶対に欠かすことができない「比を簡単にする」ということについて紹介します。
早速、デンヘキ先生とのびーたさんの授業を見ていきましょう。


今回は、2ページ構成です。ぜひ、最後までお読みください。
1ページ:整数だけの比を簡単にする(現在のページ)
2ページ:小数・分数の比を簡単にする

比を簡単にするって?

デンヘキ

今日は比を簡単にするということをやっていこうと思うんだけど……
前回、18:12、9:6、6:4、3:2、360:240
という5つの比が出てきたのは覚えているかな?

のびーたさん

全部同じものを比べているから「等しい比」ってなるんですよね。

デンヘキ

そうだね。
18:12は18個と12個を比べていて、9:6は9袋と6袋を比べていたよね。
この2つなんだけど、パッと見たとき、数や大小関係がわかりやすいのはどっちだと思う?

のびーたさん

うーん……
イメージとしては数字が少ないほうがわかりやすいです。

デンヘキ

そうだよね。
じゃあ、18個と12個を比べていた18:12と、3袋と2袋を比べた3:2だとどうかな?

のびーたさん

やっぱり、3:2かなぁ。

 

どれが一番わかりやすい?

比 一目ですぐわかるのは?

 

デンヘキ
そうだよね。こうやって、等しい比のなかでも数字を小さくすることで、一番わかりやすい形にするのが「比を簡単にする」ということなんだよ
のびーたさん

なるほど!
でも、数字が小さいほうがいいっていうだけなら、小数でもよくないですか?
0.3:0.2みたいな。あれ?小数とかを比で使ってもいいのかな?

デンヘキ

お、いいところに気づいたね。まず、比に小数を使うのは問題ないよ。もちろん分数を使ってもいい。
ただ、比を簡単にするときは、整数でなくてはいけないっていうルールがあるんだよ。

のびーたさん

なんで、そんなルールがあるんですか?

デンヘキ

単純だよ。簡単ではないから。
例えば、前回、袋に入れていくっていう説明したよね。
このとき、袋が0.3袋とか0.2袋とか考えてごらん?

のびーたさん

え?袋の数が小数ってことは……
袋が破れているってことですか?

デンヘキ

そうだね。もしかしたら、満杯になっていない袋なのかもしれない。
どちらかはわからないけど、どっちにしてもわかりづらくないかい?

0.3袋って……?

比 0.3袋ってこんな感じ?

 

のびーたさん

すっごくわかりづらいです……

デンヘキ

だろ?じゃあ、全然簡単になっていないよね。

「比を簡単にする」ということは、
①整数
②できる限り小さい数字にする
という、2つのルールがあることを覚えてほしい。
そうすれば、わかりやすいから簡単になっているんだ。

のびーたさん

わかりました!

デンヘキ

じゃあ、次からは実際に比を簡単にする方法をやっていこうか。

比を簡単にする方法 ~整数だけのとき~

問題  48:60を簡単にしなさい
デンヘキ

さあ、比を簡単にする方法だけど、整数だけのときは「同じ数で割る」と考えよう。

のびーたさん

同じ数で割る?

デンヘキ

うん。48と60の2つ数をどちらも割り切れる数字ってないかな?

のびーたさん

えっと……
48÷2=24、60÷2=30なので、どちらも2で割れます!

デンヘキ

そうだね。だから48:60=24:30ってなるのさ。
でもまだまだ割れるぞ。

のびーたさん

あ、まだ2で割れます。24÷2=12、30÷2=15だから、
48:60=24:30=12:15ですね?

デンヘキ

そう!順調だね。
これで終わりかな?

のびーたさん

そう言うってことは、まだ割れるんですね?
えっと……3で割れるかな?
12÷3=4、15÷3=5だから、
48:60=24:30=12:15=4:5です!

デンヘキ

正解!

これ以上はもう割れることができないから、48:60を簡単にしたときの答えは、4:5となるんだ。

問題  48:60を簡単にしなさい
答え  4:5
のびーたさん
やり方はわかりました。でも何回もわり算をするのってめんどくさいですね……

 

デンヘキ

うーん……まぁ、そうだね。言いたいことはわかるよ。
でも、6で割ったり、12で割ったらどうなるかな?

のびーたさん

6で割ったら、
48÷6=8、48÷6=10だから8:10です。
もう一度2で割ったら、8÷2=4、10÷2=5で4:5です。

デンヘキ

ほら、わり算2回で終わったじゃないか。
12で割れば、48÷12=4、60÷12=5から、4:5というように1回で終わるぞ。

のびーたさん

そうか!最初から大きい数で割るようにすればいいんですね!

デンヘキ

うーん……おしい!
例えば、最初から「6で割れる」とか「12で割れる」って気づけたらそれでいいんだ。
でも、絶対に思いつけるかな?

のびーたさん

わかりそうな気がしますけど……

デンヘキ

なるほど。じゃあ、特別に問題を出してみよう。
3072:768
これを簡単にするには、何で割ったら1回で終わるかな?

のびーたさん

こんな大きい数わからないですよ!

デンヘキ

そうだろう?
だから、「必ず一回で割れる数でやらなくてはいけない」なんてことはないのさ。もちろん、「必ず小さい数から考えていかなくてはいけない」なんてこともない。
大事なのは「思いついた数から割っていけばいい」っていうことさ。
そのほうが「もっと大きな数で割っていけるかも」って考えていくよりもずっと早く終わるはずだよ。

のびーたさん

なるほど……
ちなみに先生なら、さっきの問題は何で割るんですか?

デンヘキ

うーん……そうだね、どちらも偶数だから2で割るか、どちらも3の倍数だから3で割ってみるかな。
まずは3で割ってみようか。
3072÷3=1024、768÷3=256だから、1024:256だね。

のびーたさん

これでも大きいですね。大変だ……

デンヘキ

そうだね。でも、算数や数学に詳しい人ならここからすぐに
1024÷256=4、256÷256=1で4:1ってできるんだよ。

のびーたさん

え!そうなんですか?

デンヘキ

実は、1024は2を10回、256は2を8回かけた数なんだ。
だから、すぐにわかるってわけさ。
少し算数・数学に詳しい人ならだれでも知っている数字さ。
こうやってよく出てくる数字とか、数字の性質を知っているとこういう時に便利なんだ。

のびーたさん

へー……
もしかして、3072や768が3の倍数ってすぐに気づいたのもおなじですか?

デンヘキ

そうだね。これは3の倍数を覚えていたわけではないけど、簡単な3の倍数の見分け方があるんだ。だからすぐにわかったんだよ。もし、今後こういう便利な数字や見分け方が出てきたら少し覚えておこうね(詳しい倍数の見分け方を知りたい方はこちらをチェック!)。

ところで、ここまで比を簡単にする方法をやってきたけど、なんか似たようなことをやったことはないかな?

のびーたさん

似たようなことですか?なんかあったかな?

デンヘキ

ほら、同じ数で割るって別のことでもやってるでしょ?

のびーたさん

えーっと……
あ!約分と一緒です。

デンヘキ

そう!よく思い出せたね。
実は分数と比はとても似たような考えができるんだよ。
だから、比を簡単にするときは約分と同じようにで考えてみよう。

さて、これで整数だけの比を簡単にする方法はおしまい。
次からは小数が混ざったときはどうするかを見ていこうか。

次ページ
~ 小数の比を簡単にする・分数の比を簡単にする ~