比を使って□を求める

比:□の求め方

比は文章題や図形などいろいろな単元で使われることは一度お伝えしました。
今回は、実際に問題を解く際に使用する、□の求め方をお伝えします。
では、デンヘキ先生とのびーたさんの授業を見ていきましょう。

□を求める方法は3通り

デンヘキ

今回は比を使った□の求め方をやっていくよ。

のびーたさん

比を使った□?

デンヘキ
うん。例えば、こんな問題。
問題  3:4=9:□
□に入る数字を求めよ。
デンヘキ

□に入る数字は何だと思う?

のびーたさん

うーん……
3:4ってもう同じ数で割れないから、9:□を簡単にしたら3:4になるってことかなぁ?

デンヘキ

お、いい考え方だね。その通りだよ。
それを使っていくとできるぞ。

のびーたさん

なんか、わかりそうでわからないです……

デンヘキ

じゃあ、今回はこのやり方を説明するんだけど……
実はやり方は全部で3つあるんだ。

のびーたさん

えっ、3つもあるんですか?大変だぁ……

 

デンヘキ

まぁ、そう言わずに慣れればそうでもないから。
さっきの問題は3つのやり方を全部説明してから、最後に答え合わせをしよう!

のびーたさん

いま、教えてくれてもいいのに……

デンヘキ

まあ、そう言わないでよ。
まずは3つのやり方を簡単に言うと、
①右から右、左から左へ同じ数をかけたり、わったりして求める
②1つの比の中で何倍か考える
③内側同士と外側同士をかけたら同じ数字になることを利用して求める
の3つなんだ。

のびーたさん

……どこが簡単なんですか?

デンヘキ

冷静なツッコミだね(笑)
でも、確かに文字だけだと何を言っているかわかりづらいね。
1つずつやり方を見ていこう!

①右から右、左から左へ同じ数をかけて求める

デンヘキ

さあ、まずは問題を見てみよう。

問題  7:3=49:□
□に入る数字を求めよ。
デンヘキ

この問題をどう解いていくかっていう話なんだけど……
今回の右から右、左から左っていうのは、それぞれの比の場所だと思ってほしいんだ。

のびーたさん
比の場所?
デンヘキ

うん。
今回は「7:3」っていう比と、「49:□」っていう比の2つの比があるよね。
7:3の左側の数字と49:□の左側の数字をそれぞれ見てみよう。

のびーたさん
えっと……7:3の左側は7で、49:□の左側は49ですか?

比:□の求め方①説明

デンヘキ

そう!そういうことだよ。
じゃあ、7から49まで何倍しているかわかるかな?

のびーたさん
えっと……7倍ですか?
デンヘキ

OK!
今度は、それぞれの右側の数字に注目してみよう。

のびーたさん
えっと……7:3の右側は3で、49:□の右側は□です。
デンヘキ

そうだね。そして、左側は7倍しているってわかったよね。
実は、左側が7倍だったら、右側も7倍しているんだ。

比:□の求め方①1

のびーたさん

えっと、じゃあ3を7倍して、
3×7=21
だから、□=21っていうことですか?

デンヘキ

完璧!!それでやり方はバッチリだよ。

問題  7:3=49:□
□に入る数字を求めよ。
答え  □=21
デンヘキ

最初の「右から右、左から左へ同じ数をかけたり、わったりして求める」の意味は分かったかな?

のびーたさん

2つの比の右側の数字と左側の数字に注目して、何倍かがわかれば解けるんですね。

デンヘキ

そういうこと。
問題を3つ出してみるから、練習していこうか。

問題  2:3=12:□
□を求めよ
デンヘキ

さあ、まずは、さっきとほとんど同じ問題だよ。
どうすればいいかな?

のびーたさん

えっと……
それぞれの左側を見てみると、2と12で6倍しているから、左側も6倍のはず。
だから、3を6倍して、
3×6=18
□=18です!

比:□の求め方①5

デンヘキ

うん、完璧。すごいじゃん!!
じゃあ、その調子で次の問題もやってみよう!

問題  2:3=12:□
□を求めよ
答え  □=18
デンヘキ
じゃあ、次の問題をやってみようか

問題  3:5=□:45
□に入る数字を求めよ

デンヘキ

本当に少しだけ変えた問題。
何が変わったかわかるかな?

のびーたさん
えっと、□の位置が右から左になってます。
デンヘキ
そうだよね。
でも、考え方は一緒だよ。どうすればいいかな?
のびーたさん

一緒の考え方ってことは、今度は右側の数字を見ればいいのかな?
右側の数字は5と45だから、5から45までは9倍。
左側の数字の3も9倍になるはずだから、
3×9=27
□=27
かな?

比:□の求め方①説明2

デンヘキ

お、バッチリだね!

問題  3:5=□:45
□に入る数字を求めよ
答え  □=27
デンヘキ
ちなみに「?倍」のかけ算だけじゃなくて、わり算で考えることもできるよ。
のびーたさん

わり算?

デンヘキ
うん。次の問題はどうなるかな?
問題  12:32=6:□
□に入る数字を求めよ
のびーたさん
えっと、右側の数字を見てみると、12と6だから2倍。
だから、32も2倍?あれ?なんかおかしいな……
デンヘキ
そうだね。おかしなところに気づけたのはいいところだよ。
このやり方に注意してほしいのは、矢印の方向なんだ。
のびーたさん
矢印の方向?
デンヘキ
うん、今言ってくれた2倍っていうのを矢印をいれて考えてみると、こうなるよね。
のびーたさん
あ、右側と左側で矢印の方向が逆になってる。
デンヘキ
そうだよね。こういうミスは意外と多いから気を付けよう。
「矢印は同じ方向」を必ず守ろうね。
比:□の求め方①説明2
のびーたさん

わかりました。……でも、それだとこの問題はどうすればいいのかな?

デンヘキ
さっき、かけ算だけじゃなくて、わり算でも大丈夫って言ったのを覚えているかな?
のびーたさん

わり算……?

デンヘキ

うん、矢印が同じになるように、12から6にするにはどうすればいいか考えてごらん?

のびーたさん

えっと、12から6にするには……
あ!12を÷2すれば6になる。

デンヘキ

そう!それを使うんだよ。

のびーたさん

左側を÷2しているから、右側の32も÷2すればいいんだ。
32÷2=16
□=16
ですね!?

比:□の求め方①3

デンヘキ
パーフェクト!
かけ算でもわり算でもいいの意味も分かったみたいだね。
問題  12:32=6:□
□に入る数字を求めよ
答え  □=16
のびーたさん

やり方がわかってきました。

デンヘキ

よかった。
じゃあ、最後に少しだけ応用問題をやってこのやり方の説明を終わりにしよう。

問題  8:12=\(\displaystyle\frac{2}{5}\):□
□に入る数字を求めよ
のびーたさん

うぅ、分数が入ってきた……

デンヘキ

分数が入ってきたからってそんなに困らなくて大丈夫。
まずは、8:12を簡単にできるからやってみよう。
※簡単にする方法はこちらから

のびーたさん

8:12を簡単にですか?
えっと……どちらも4で割れるから
8÷4=2、12÷4=3だから
8:12=2:3
ですか?

比:□の求め方①説明3

デンヘキ

そうだね。
この2:3と\(\displaystyle\frac{2}{5}\):□を見てみよう。
左側の2と\(\displaystyle\frac{2}{5}\)を見てみると、2に\(\displaystyle\frac{ }{5}\)をつけたら\(\displaystyle\frac{2}{5}\)になるよね?

のびーたさん
あ、ホントだ。
デンヘキ
だから、右側の比にも\(\displaystyle\frac{ }{5}\)をつければいいって考えればいいんだ。
のびーたさん
右側の数字は3だから\(\displaystyle\frac{ }{5}\)をつけて\(\displaystyle\frac{3}{5}\)ってことですか?

比:□の求め方①4

デンヘキ
そう!これも右から右、左から左と同じ考え方なんだよ。
問題  8:12=\(\displaystyle\frac{2}{5}\):□
□に入る数字を求めよ
答え  □=\(\displaystyle\frac{3}{5}\)
デンヘキ

じゃあ、このやり方はここまでにして、次のやり方を見てみよう。

1つの比のなかで何倍か考える

問題  3:12=5:□
□に入る数字を求めよ
デンヘキ
じゃあ、これはどう考えればいいと思う?
のびーたさん

えっと、2から5まで何倍か考えればいいから……

デンヘキ
そうだね。さっきのやり方だとそれで正解。
だけど、それだと分数になって大変だろ?
のびーたさん
はい。何か面倒くさいです……
デンヘキ
そこで、1つの比の中で何倍か考えてみよう。
のびーたさん
1つの比の中?
デンヘキ
うん。左右どちらもわかっている3:12を見てみよう。
左から右、3から12まで何倍になっているかな?
のびーたさん
えっと……
12÷3=4
だから4倍です。
デンヘキ
そうだよね。
等しい比の場合、この何倍というのはどちらも同じになるんだ。
のびーたさん
えっと……
5:□のほうでも、左から右へは4倍ってことですか?
デンヘキ
そう!そしたら□がわかりそうじゃないかい?
のびーたさん
5×4=20だから、
□=20です!

比:□の求め方②1

デンヘキ
その通り!よくできたね。
問題  3:12=5:□
□に入る数字を求めよ
答え  □=20
デンヘキ
じゃあ、このやり方をもう少しやってみようか。
問題  4:20=7:□
□に入る数字を求めよ
のびーたさん

わかりました!
20÷4=5
だから、比の中で5倍です。
7:□の中でも5倍になるから、
7×5=35
なので、
□=35
です。

デンヘキ
速攻でできちゃったね。完璧だよ。

比:□の求め方②2

問題  4:20=7:□
□に入る数字を求めよ
答え  □=35
デンヘキ
じゃあ、少しだけ変化球だよ。
問題  □:6=4:8
□に入る数字を求めよ
のびーたさん

今度は4:8の中で考えればいいんですよね?
8÷4=2
だから、比の中で2倍!
□:6の中でも2倍になるから……
あれ?

デンヘキ

考え方の方向性は合っているけど、うまくできなさそうだね。
どうしようか。

のびーたさん
あ、わかった!
4から8じゃなくて、8から4で考えればいいんだ。
比の中で右から左、8から4へは÷2しているって考えればいいんだ!
□:6の中でも同じよう右から左へ÷2になるはずだから、
6÷2=3で、
□=3
ですね!?
比:□の求め方②3
デンヘキ
OK!よくわかったね。
問題  □:6=4:8
□に入る数字を求めよ
答え  □=3
のびーたさん
①のとき、かけ算だけじゃなくてわり算で考えるときもあったから使えるかなって考えたんです。
デンヘキ
お、その考えはかなりいいことだよ。
別のところで習ったことを使えないか考えるとできることもあるからね。
じゃあ、応用問題。
その考え方ができるなら応用問題でもできるんじゃないかな。
問題  2:\(\displaystyle\frac{2}{7}\)=6:□
□に入る数字を求めよ
デンヘキ
これなら、どうなると思う?
のびーたさん
うっ……また分数がある……
デンヘキ
分数があるからって難しく考えないようにしよう。
さっきも分数があるときの考え方をやっただろう?
のびーたさん
あ、そういえば。
えっと、整数と分子の数字が同じだから、分母をつけて考えたんだっけ。
デンヘキ
そうだね。ほら、できそうじゃない?
のびーたさん
あ、2と\(\displaystyle\frac{2}{7}\)の分子が一緒だから\(\displaystyle\frac{ }{7}\)をつければいいのかな?
デンヘキ
それで大丈夫だよ。あとは答えをだすだけ。
のびーたさん
6にも同じように\(\displaystyle\frac{ }{7}\)をつけて、
□=\(\displaystyle\frac{6}{7}\)
ですか?
比:□の求め方②4
デンヘキ
正解!ほら、できたじゃないか!
問題  2:\(\displaystyle\frac{2}{7}\)=6:□
□に入る数字を求めよ
答え  □=\(\displaystyle\frac{6}{7}\)
デンヘキ
じゃあ、最後のやり方を紹介しよう。

内側同士と外側同士をかけたら同じ数字になることを利用して求める

デンヘキ
最後は、最終兵器の紹介だよ。
のびーたさん
最終兵器?
デンヘキ
うん。どんな比でも、中学生や高校生になっても使えるやり方なんだ。
のびーたさん
スゴイ!でも、それなら難しいんじゃ……
デンヘキ
そう考える前に、まずはやり方を見てみよう。一つの決まりだけ守れば大丈夫だよ。
問題  2:7=8:□
□に入る数字を求めよ
デンヘキ
さて、さっき言った一つの決まりなんだけど、「内側同士と外側同士のかけ算は等しくなる」っていうことなんだ。
のびーたさん
内側同士?どこに内側があるんですか?
デンヘキ

「2:7=8:□」っていうのは、真ん中に「=」があるよね?
この=に近いのが内側、遠いのが外側だよ。

のびーたさん
えっと……?
デンヘキ
「2:7」では、2と7、どちらが=に近い?
のびーたさん
7です。
デンヘキ
そうだよね。8:□では?
のびーたさん
8です。
デンヘキ
この2つが内側ということ。
のびーたさん
あ、なんとなくわかってきました。
「=」から見ると、7と8が内側にあるってことですね?
デンヘキ
そう。今度は外側を見てみようか。
のびーたさん
2:7で「=」から遠いのは2、8:□で「=」から遠いのは□だから、外側は2と□ですか?
比:□の求め方③説明
デンヘキ

うん、よくわかったね。
この内側同士の7と8、外側同士の2と□それぞれのかけ算の結果が同じになるという性質が比にはあるんだ。
要するに、7×8と2×□が同じってこと。

のびーたさん
え、じゃあ、7×8は56だから、2×□も56になるってことですか?
比:□の求め方③1
デンヘキ
うん。これで□に入る数字がわかるかな?
のびーたさん
56÷2=28だから、
□=28
ですか?
デンヘキ
そう!
よくできたね。
問題  2:7=8:□
□に入る数字を求めよ
答え  □=28
デンヘキ
じゃあ、今回は1問だけ練習問題をやってみるよ。
問題  12:9=□:6
□に入る数字を求めよ
デンヘキ
この問題はできるかな?
のびーたさん
えっと……内側が9と□、外側が12と6で合ってますか?
デンヘキ
うん、大丈夫だよ。
のびーたさん
じゃあ、外側のかけ算が
12×6=72だから、
9×□=72になって、
72÷9=8
□=8
です!
比:□の求め方③2
デンヘキ
正解!完璧だね。
のびーたさん
そういえば、最終兵器っていう言い方をしてましたけど、どういうことですか?
デンヘキ
それについては、なんで3通りのやり方を紹介したのかを説明するからそこで伝えていくよ。

どれが一番簡単?

デンヘキ
じゃあ、今回3通りのやり方を伝えたけどどれが一番やりやすいと思ったかな?
のびーたさん
え、どれだろう……?
う~ん……わからないです。
デンヘキ
まぁ、まだ慣れてないもんね。
ただ、慣れている人や、先生みたいな人でもどれが一番って言えないんじゃないかな。
のびーたさん
え、どうしてですか?
デンヘキ
だって、一番やりやすい方法があるならそれだけ伝えればいいだろ?
わざわざ難しいやり方を教える必要もないし、それをやる必要もないじゃないか。
のびーたさん
そういえばそうですね。難しい方法なんて教えてほしくないです。
デンヘキ
3通り伝えたのは、どれが一番いいのか問題ごとに変わってくるんだよ。
だから、どれが一番いいのか問題ごとに見極められるようになってほしいんだ。
のびーたさん
見極められるようにかぁ……
デンヘキ
うん。例えば、①②のやり方はすぐに何倍かわかるときは絶対にそれでやったほうが速い。
計算ミスもしにくいんだ。
ただ残念なのは、何倍かすぐにわかることは、多くないんだよ。
のびーたさん
そうなったら③のやり方を使えばいいんですか?
デンヘキ
うん。しかも③のやり方のすごいところは、出来ないものがないんだよね。
のびーたさん
どういうことですか?
デンヘキ
もちろん、①のやり方も②のやり方もできない比があるわけじゃないんだけど、比によっては小数や分数が出てきて、かなり間違いが起きやすくなってしまう。
でも、③のやり方はそういうことがあまりないんだ。
だからさっき「最終兵器」って言ったんだ。
のびーたさん
じゃあ、むしろ③のやり方だけでやったほうがよくないですか?
デンヘキ
う~ん……ただ、さっき言ったように①や②のやり方でやったほうが圧倒的に早く簡単な問題もあるんだ。
そういう問題で③のやり方でやると、時間もかかるし、ミスも起こしやすいと思うかな。
のびーたさん
じゃあ、①や②のやり方でやったほうがいい?
デンヘキ
もし、やり方を1つにしぼったほうがいいと思うなら③がいいかな。
さっき言ったようにできないような問題はないから。
ただ、理想を言えば、全部できるようになること。
のびーたさん
3つ全部ですか?
デンヘキ
うん。3つのやり方を全部できるようになれば、どれが一番いいやり方なのか判断できるようになるはずだよ。
のびーたさん
問題ごとに選ぶんですか?
デンヘキ
うん。
例えば、最初の問題なんだけど……3種類のやり方でやってみると下のようになる。
比:□の求め方3パターン
問題  3:4=9:□
□に入る数字を求めよ。
答え  □=12
デンヘキ
どうかな?
のびーたさん
①のやり方は、暗算でも簡単にできそうです。
でも、②は正直やりたくないなぁ。
③は作業が多いような気がします。
デンヘキ
なるほどね。
これは人によって感想が変わってくるから、どれが一番いいっていうのは自分で決めて大丈夫。
のびーたさん
そうなんですか?
デンヘキ
うん。ただ、自分が一番いいと思う方法でやってほしいんだ。
だから練習するときはやり方を覚えることはもちろん、どのやり方が一番いいと思うかまで考えてあげるといいね。
のびーたさん
大変だぁ……
デンヘキ

確かにそうかもしれないね。
でも、本当に一番いいと思うやり方が選べるようになると、問題を解くときにも役に立つことがあるから頑張ろう!


今回、比の□を求めるやり方を伝えてきました。
さて、デンヘキ先生が言っていたように、3通りのやり方で一番簡単なのを求められるようになってほしいと思います。
3種類、理解していると進学後の学習にもつながってきます。
先にもつながる学習を心がけてほしいと思います。