100マス計算って?
「100マス計算」とは、縦10×横10のマスの左側と上部にそれぞれ0から9までの数字をランダムに配置、それぞれが交差するマスに答えを書くという計算方法です。
答えを入れるマスが100個だから「100マス計算」。
100マスへステップアップする前のもので、36マスや64マスなど、マスが少ないものもあります。
「表の中を埋めていく」方式で、1桁+1桁だけでなく2桁と1桁の足し算・引き算や掛け算・割り算などもあり、気軽に購入できるドリルなども多く発売されています。
100マス計算って意味あるの?
100マス計算の効果については賛否両論。
やっても意味がないという方もいれば、意味はあるという方もいます。
個人的な意見として、100マス計算はとても有効なものであると考えています。
100マス計算の効果はいくつかありますが、現場で実践してきて特に感じた効果は、
・瞬間的な計算力の向上
・運筆スピードの向上
の2つです。
少し詳しく説明しましょう。
100マス計算の効果
①瞬間的な計算力の向上
そもそも、計算とは何でしょうか。
大きな数の計算はもちろん、小数の計算でも筆算をすれば最終的に行うのは1ケタ同士の計算です。
また、分数などをするにしても、1ケタ同士の計算を必ず行います。
極端なことを言うと、1ケタ同士の計算がしっかり行えれば、計算はできるはずなのです。
その1ケタ同士の計算を鍛えていくのが100マス計算なのです。
②運筆スピードの向上
入試などのテストはもちろん、普段の勉強から早く書けることはとても重要です。
しかし、それができない子が意外と多いのが現実です。
なぜなら、自分が書きたい文字や数字を早く書けるようにするということは訓練が必要なのです。
そういった早く書く訓練の一つになるのが100マス計算でしょう。
スピードを意識して字が汚くなるという考えの方もいますが、運用方法をしっかりすれば汚くなることなく早くしていけると思います。
〇つけはすべきか
結論から言うと、必ず〇つけはすべきです。
この時に重要なのは満点かどうかということです。
どれだけ早く計算できても間違っていては意味がありません。
まずは満点をとることを最初の目標にして取り組むようにしましょう。
そして、安定して満点がとれるようになってからスピードを早くしていくようにしてください。
〇つけは親が行う
「運筆スピードの向上」のところにも書きましたが、早く書けるようにするのは非常に大切です。
しかし、それによって読めない字を書いてしまっては意味がありません。
また、間違っていても〇にしてしまう子は珍しくありません。
そのため、親などの第三者が〇つけをするのが良いでしょう。
ルールとして「読めない字は×にするよ」ということを決めてください。
子どもは読めるというと思いますが、〇つけをする人が読めるように書くことも大事なことと伝えてあげましょう。
ここで大事なことは「汚いから×」はやめてあげましょう。
多少形が崩れていても、読めるのであれば〇、読めないのであれば×としてください。
効果的な使い方とは?
・必ず毎日行う
計算などは反復練習により向上していきます。
本当にやむを得ない事情でないかぎりは毎日やるようにしましょう。
また、できれば時間まで決めると良いです。
※以前、担当していた子に、毎日やるようにと伝えていたところ、旅行先にまで100マス計算を持って行って取り組んでいた子がいました。そこまで意識になると良いと思います。
・数字を変えない
数字を変えないと答えを覚えてしまうのではと思うかもしれませんが、構いません。
そもそも1ケタ同士の計算結果をすぐに出せるようにするためのものです。
覚えてしまうことが大事なのです。
ただ、本当にずっと続けていては計算結果ではなく場所で覚えているだけになるので、1カ月を目途に数字を変えていくと良いでしょう。
・達成表を活用する
毎日行うために自己達成感を与えることが必要になります。
その達成感を与えるものが、「以前の自分より早くなった」ということです。
そのために、数字を変えない1カ月分のタイムを達成表に記入して行くと良いでしょう。
その達成表を見ることで、1カ月の成長度合いがわかるようになります。
目標タイムは?
結論から言ってしまえば、たし算、ひき算、かけ算すべてが1分を切れることが最終目標となるでしょう。
学年ごとの目標としては、こんな感じでしょうか。
低学年(小学校1、2年生)
2:00~2:30。
中学年(小学校3、4年生)
1:30以内。
高学年(小学校5、6年生)
1:00以内。
いつまでやるべき?
100マス計算の目的は
・瞬間的な計算力の向上
・運筆スピードの向上
の2点です。
この2点がクリアできたのであれば、100マス計算は卒業、または数を減らしてよいのではないかと思っています。
目標タイムで記した通り、1分以内に全問正解をすることができるのであれば、100マス計算は卒業レベルです。
※1回だけ1分以内できた! ではなく恒常的に1分以内に解ける状態です
学習習慣として続けるのは問題ありませんが、このレベルまで到達できたのであれば、応用問題をどんどん解いていきましょう。
100マス計算をしているも応用力がつかない?
「100マス計算をやっているも応用力が身につかない」という意見をよく耳にします。
この言葉を聞いて、100マス計算を行うことに不安を感じてしまった方もいるのではないでしょうか。
確かに100マス計算をやっても応用力は身につきません。計算演習なので当然ですね。
というより、そもそも100マス計算の目的は計算力の向上なので、応用力うんぬんの話をすること自体、主旨が違う気がします。
「100マス計算だけをやっているも応用力が身につかない」の方がニュアンス的に正しいのではないでしょうか。
ただ、1つ言えるのは「100マス計算を行うことがはとても役に立つ(合理的である)」ということです。
というのも、基本的な計算力がない(足りない)ことによって応用問題に取り組めない(取り組んだとしても、相当の時間がかかる)というケースが多々あるからです。
1問に費やす時間が長すぎるため、応用問題の演習量が確保できず、結果として応用レベルの知識が定着しないというのは、本当に多いケースなのです。
そうならないためにも、100マス計算は早めに始めておくといいですね。
最後に
100マス計算について書いてきましたが、正しく活用できればとても有効なものといえるでしょう。
繰り返しになりますが、「100マス計算は計算力を上げるもの」です。
勉強に取り組む上で「基礎能力を上げるもの」として活用してほしいと思います。
演習問題を何台かご用意いたしましたので、是非活用してください。