この記事は授業用記事です。保護者の方が「子どもが『わからない!』というので教え方を知りたい」というような方を想定しております。詳しくはこちらをご確認ください。
中学受験では「比」はとても重要です。なぜなら「比を使わない単元はない」といっても過言ではないからです。
文章題(特殊算)、図形、速さ、整数問題、規則性……どれでも使います。
さらに言えば、算数だけではなく理科や社会などでも使うことがあります。
しかし、「よくわからない!」となって混乱していくことも珍しくありません。
ここでは、少しでも比について親しみやすくなるようにデンヘキ先生とのびーた君の授業形式で紹介していこうと思います。
比ってなんだろう?
今日は「比」についてやっていこうと思うんだけど……
比ってなんだと思う?
いきなり言われてもわかりませんよ。
じゃあ、比という漢字に送り仮名をつけて読むとどうなるかな?
「比べる」ですね。
そうだね。だから、新しい比べ方と思ってくれるといいかな。
じゃあ、どんな比べ方なのか、下の例で少し考えてみようか。
ヘキ君とデン君の持っているチョコレート
なにかわかることはあるかな?
そんなこと、いきなり言われても……
ヘキ君のほうが6個多いくらいしかわからないですよ。
それで十分だよ。
今まではどちらが多いとか、少ないとかで比べてたよね。
どっちが多いか少ないかって、たし算とか、ひき算を使っていたよね。
実は、今までの比べるって、たし算やひき算を使って比べていたってことなんだ。
でも、比を使うとかけ算やわり算で比べることができるんだ。
うん。例えば、ヘキ君はデン君の何倍かわかるかな?
えっと……何倍かってことは、わり算をするんですよね?
18÷12=1.5だから、1.5倍ですか?
なんか……難しそうですね。
う~ん……まぁ、毎回わり算をするって考えると大変かもしれないね。
だけど、比では毎回わり算やかけ算をするわけではないから安心して。
じゃあ、少し違う見方をしてみようか。
比っていうのは「基準の量がいくつなのか」で考えることができるんだ。
基準の量?
じゃあ、もう少し詳しく見ていこうか。
比の表し方 ~基準の量を変えて比べてみよう~
2人が持っているのは18個と12個だよね?
この2つの数字を使って比にしていくんだ。
比にするときは、:(たい)という記号を使うよ。
2つの数字の間に:(たい)をいれてあげて、
18:12
と書くんだ。読み方は「18たい12」と読む。
2つの量を:(たい)を使って結ぶだけ。簡単でしょ?
確かに、これくらいなら簡単にできそう……
でも基準の量ってどういうことですか?
これからその謎を少しずつ解き明かしていこうか。
まず、2人の持っているチョコレートを2つずつ袋に入れていこう。
ここで問題!
2人はそれぞれ何袋ずつ持っていることになるかな?
えっと…
ヘキ君は18個持っているから、18÷2=9で、9袋、
デン君は12個持っているから、12÷2=6で、6袋です。
チョコレートを2袋ずつ入れると……
そうだね。じゃあ、今度はその袋の量を使って、比にすることはできるかな?
ヘキ君は9袋、デン君は6袋だから、:で結ぶから……
9:6
ですか?
お!正解!!スゴイじゃん!
:(たい)で結ぶだけなら、さすがにできますよ……
それより、基準の量ってどういうことなんですか?
最初の18:12っていうのは、「チョコレートを1個」を基準として数えて比べたね。
次の9:6っていうのは「2個ずつ入れた袋の数」を基準として数えて比べたんだよ。
基準の量が変わっているでしょ?
基準の量を変えて比べていくのが比なんですか?
そう。基準の量を変えていけばもっと別の比が出てくるよ。
例えば、今度は袋に3個ずつ入れて比にするとどうなるかな?
えっと、ヘキ君は18÷3=6袋、デン君は12÷3=4袋だから、
6:4です!
チョコレートを3個ずつ袋に入れると……
チョコレートを6個ずつ袋に入れると……
完璧じゃん!
じゃあ、今度は少し数字を増やしてみようか。
一つのチョコレートの値段を20円としてみよう。
2人の持っているチョコレートの値段はいくらになるかな?
ヘキ君は18×20=360円、デン君は12×20=240円です。
チョコレート1個を20円としたときの値段
簡単ですよ。360:240です!
そうだね。360:240というのは「値段」を基準に比べたってことさ。
値段じゃなくて、重さとかにすればもっと色々な比べ方ができるよね。
こうやって基準の量を変えて比べていくのが比の考え方なんだよ。
等しい比 ~基準を変えても変わらないもの~
ここで、もう少しだけ踏み込んでいくよ。
それが「等しい比」というものなんだ。
等しい比?
今まで、18:12、9:6、3:2、360:240という5つの比が出てきたね。
だけど、これって同じものを比べているんだけどわかるかな?
言われてみれば……
数字は違うけど、全部2人の持っているチョコレートを比べています。
そうだろう?だから、この5つはすべて同じ比と考えることができる。
なら、同じことを表す=を使えば、
18:12=9:6=6:4=3:2=360:240
と表すことができる。
同じ比だから「等しい比」っていうんだ。
そう!今回はここまで。
①比は「基準の量がいくつなのか」で比べていくということ、②比は「:(たい)」という記号をを使って表すということ、③数字が違くても同じものを比べているなら「等しい比」ということの3つを覚えておこう。