前ページでは、整数だけの比を簡単にする方法を伝えてきました。
ここからは、小数や分数が入ってきたらどうするのか考えていきましょう。
今回は、2ページ構成です。1ページ目からの続きとなりますので、まだ読んでいない方は、1ページ目からお読みください。
1ページ:整数だけの比を簡単にする
2ページ:小数・分数の比を簡単にする(現在のページ)
わからない、知らない問題に出会ったら……
さて、小数の比を簡単にする方法を説明する前に少しだけ別の話をするね。
別の話?
これからもわからない問題とか、新しい問題が出てくると思うんだ。
そんなときに考えてほしいのが、「自分の知っている形」を見つけること。見つけられなかったら、「自分の知っている形」を作ることを心がけてほしいんだ。
自分の知っている形ですか?
う~ん……ちょっと想像できないです。
比を簡単にする ~小数があるとき~
想像つくかな?
わからないですよ……まだ、習ってないですし。
まぁ、そうだよね。
でもちょっと考えてみようか。さっき、整数のだけのときはどうするか説明したよね。
はい。同じ数で割るんですよね。
小数を整数にする方法なんてあるんですか?
うん。しかも、実はその方法はもう習っているんだ。
まぁ、「小数を整数にする方法」として習ったりはしないからわからないかもしれない。
ちょっと思い出してほしいんだけど、
2.8÷1.2
って計算するとき、どうしたっけ?
えっと、筆算を書くと、1.2が小数なので……
1.2の小数点を左に1つ移動させます。
そのあと、1.2だけ移動させるのはよくないので、2.8の小数点も左に1つ移動
それから……
ストップ!
今、1.2も2.8も小数点を移動させたよね。
移動させると、どういう式になったかな?
え?28÷12です。
もしかして、これと同じことをするということですか?
そうだよ。さっきわり算で移動させたように、小数点を移動させて整数だけの比にするんだ。
すると、
2.8:1.2=28:12
と整数の比になるだろ?
これなら、続きはできそうじゃないかな?
28÷4=7
12÷4=3
なので、
7:3です!
答え 7:3
よくできたね!
でも、実はちょっと注意点があるんだ。
もう一度別の問題をやってみよう。
えっと、どちらも整数にするから……
0.3の小数点を左に1つ移動させて3、
0.12の小数点を左に2つ移動させて12です。
おしい!
これがさっき言った注意点だよ。
実は小数点を移動させるときは、
「小数点を移動するときは、必ず同じだけ移動させる」
というルールがあるんだ。
うん。
例えば、さっきの0.3を整数にするのに、小数点を左に1つ移動させたね。
0.12を整数にするには、小数点を左に2つ移動させた。
あ、0.3は1つだけど、0.12は2つ移動させています。
これをどちらも同じにしないといけないってことですね。
えっと、0.12を1つだけ移動させても1.2だから、整数になっていないので、ダメですよね?
だから、2つ移動だと思います。
スゴイ!!よく気づけたね、その通り。
だから、0.3の小数点も左に2つ移動させてあげよう。
どうなるかな?
えっと、0.3の小数点を左に2つ移動させると……30です!
そう!そしたら、
0.3:0.12=30:12
と整数だけの比になったね。
後は整数だけの比を簡単にする方法を使って、
0.3:0.12=30:12=5:2
ってなるよ。
答え 5:2
自分の知っている形を見つける、作る
小数の比を簡単にする方法はわかったかな?
じゃあ、「自分の知っている形を見つける、作る」っていうのはわかった?
もしかして、小数の比を整数の比にしたことですか?
そう!小数だけでは、今まで見たことなかったからちょっとやり方がわからなかったよね。
でも、整数の比にする方法がわかればできた。しかし、小数のわり算と同じやり方で整数にできたでしょ?
①整数だけならやり方がわかるから整数の比にしよう
=自分の知っている形(整数だけの形)を作ろう!
②小数のわり算のやり方を使って整数にしよう
=自分の知っている形(小数だけのわり算の形)を
見つけたから使ってみよう!
って考えていったんだよ。
この考え方は、これからもいろいろなとことで使うんだ。
わからないから諦めるんじゃなく、知っている形を作ろうとか、見つけようと考えて解いていこうね。
はい!
比を簡単にする ~分数のとき~
さあ、今度は分数の比だ。
どう考えればいいか、わかるかな?
えっと……わからないけど、これも整数だけの形にすればいいのかな?
おっ、いい考え方だぞ!どうすればいいかわかるかな?
ちょっと想像つかないです。
じゃあ、最初にやることを伝えると、「通分」だよ。
覚えているかな?
通分って、分母(分数の下)をそろえることですよね。
今回は、\(\displaystyle\frac{3}{4}\)と\(\displaystyle\frac{5}{6}\)だから、\(\displaystyle\frac{ }{12}\)に揃えればいいんですよね?
そう!いい調子だね。じゃあ、揃えるとどうなる?
\(\displaystyle\frac{3}{4}\)=\(\displaystyle\frac{9}{12}\)
\(\displaystyle\frac{5}{6}\)=\(\displaystyle\frac{10}{12}\)
だから、
\(\displaystyle\frac{3}{4}\):\(\displaystyle\frac{5}{6}\)=\(\displaystyle\frac{9}{12}\):\(\displaystyle\frac{10}{12}\)
です!
そうだね。実は、ここまでくればあとは簡単なんだ。
分子である、分数の上の数字だけを取り出してあげよう。
うん。
\(\displaystyle\frac{3}{4}\):\(\displaystyle\frac{5}{6}\)=\(\displaystyle\frac{9}{12}\):\(\displaystyle\frac{10}{12}\)
ここで、分母が揃っているよね。だから、分子の9と10だけを取り出して、
9:10
とするんだよ。
\(\displaystyle\frac{3}{4}\):\(\displaystyle\frac{5}{6}\)=\(\displaystyle\frac{9}{12}\):\(\displaystyle\frac{10}{12}\)=9:10
ってことですか?
そう!なぜこれで大丈夫なのかは、今はちょっと置いておこう。
とりあえず、通分して上だけとれば整数の比になると覚えよう。
はい!
今回、9:10はこれ以上簡単にできなさそう……
9:10が答えでいいんですか?
そうだね。
もちろん、整数の比にしてもっと簡単にできそうだったら簡単にしなくてはいけない。
今回は、出来ないからこれが最終形だよ。
答え 9:10
分数を整数だけにするために、「通分して分子だけを取り出す」っていうのを使ったけど、これは中学校の数学でも使うことなんだ。
えっ、そうなんですか?
うん。どこで使うかは今は言わないでおくよ。
実際に出てきたとき、考えてみてね。さっきやった「自分の知っている形を作る、見つける」を使えばわかるはずだから。
比を簡単にするは絶対覚えないといけない技術
ここまで、比を簡単にする方法をやってきたけど、わかったかな?
はい、バッチリです!
頼もしい言葉だね。
最後に「比を簡単にする技術は必ず覚えなくてはいけないもの」ということを伝えして終わりにするね。
質問なんだけど、例えば分数の計算の答えが\(\displaystyle\frac{24}{36}\)って出てきたら、そのまま答えに使ってよかったかな?
分数では、約分をしなきゃいけないから、
\(\displaystyle\frac{24}{36}\)=\(\displaystyle\frac{2}{3}\)
なので、\(\displaystyle\frac{2}{3}\)が答えです。
そうだよね。実は比も同じように、
「出てきた比を答えにするときは、必ず簡単にしなければならない」
というルールがあんだ。
だから、答えがわかったとしても簡単にしていなければ正解にはならない。
だからこそ、ここで書いたことはしっかりと身につけようね。
今回は、比を簡単にする方法を扱ってきました。
記事内でも書いたように、比を簡単にすることは絶対必要になる技術です。
また、似たような考えを中学数学以降でも使っていくことができるので、ぜひここでマスターしましょう。
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