【中学受験】親の関わり方 ~子どものわからない編~

デン:親の関わり方2

1ページ目では、親子の関係性について書いていきました。
このページでは親が教えることで理解を遅くしてしまう危険性について書いていこうと思います。

今回は3ページ構成になっています。
1ページ:親が教えることで、親子の関係性に影響を与える
2ページ:親が教えることで、子どもが理解できなくなってしまう
3ページ:それでも教えたいと思う方へ
まだ、1ページを読んでいない方は、是非最初からお読みください。

教えることで子どもが混乱する

算数を専門に教えてきたため、ここでは算数についてお話しします。
子どもが混乱するというのは、塾とは違う教え方をされているときがあるのです。
特に注意してほしいのは、理系で優秀だったお父さんです。
ここでは、差集め算と呼ばれる問題を例に家での様子を考えてみましょう。

お家で教えてもらったやり方

問題
アメが何個かあります。これを何人かの子どもたちに配ることになりました。3個ずつ配ると1つあまり、5個ずつ配ると25個不足します。アメは何個あるでしょうか。
※ぜひ、一度解いてから続きを読んでみてください。

宿題でこのようなわからない問題が出てきました。
どうしてもわからないので、お父さんに聞くことにします。
優秀なお父さんは、子どもがわからなかった問題をいとも簡単に解いて見せます。
そして、子どもに解き方を伝え始めます。しかし、子どもの表情が芳しくありません。

お父さんの言っていることがわからないのです。

しかし、お父さんになんとかやり方を教えてもらい解くことができました。
そして、次の通塾日。先生が宿題を確認すると、ノートには

\begin{align}
3x+1 & = 5x-25 \\
-2x& = -26 \\
x& = 13 \\
\end{align}

\begin{align}
3×13+1=40\\
\end{align}
答え:40個

と書かれていました。

どうでしょうか。やり方や、答えも完璧です。しかし、良い状態とは言えません
なぜかわかるでしょうか?

小学生では「方程式」を習わない

正解は「方程式で解いている」ことです。
学生時代のことを思い出してみてください。
方程式のやり方を習ったのは、中学生ではなかったでしょうか。
そもそも、小学生では文字式の計算だって習っていません。

そんな子が、最初にお父さんが教えたときに何を理解できたでしょうか。
わかるもののほうが少ないことでしょう。もしかしたら何一つわからなかったかもしれません。

ちなみに中学受験ではこのように解いていきます。

3個ずつ配ると1個多く、5個ずつ配ると25個少ない。
⇒3個ずつ配るときと5個ずつ配るときの差は、全体で「26個」
3個ずつ配るときと、5個ずつ配るときの一人当たりの差は「2個」
全体の差が26個、一人当たりの差が2個なので、子どもの人数は、
26÷2=13人
子どもの人数が13人なので、
13×3+1=40個
答え:40個

イメージ図を書いたり、面積図を使って解くことも多い単元ですので、教える先生や塾によって教えてもらっている方法は違うかもしません。
ただ、共通して言えることは「\(x\)(文字)を使っていない」ということです。

こういったことを伝えると「方程式を使ったほうがわかりやすい」とか「方程式を使ったほうが時間がかからないので良い」と声をききます。
それに関しては否定をしませんが、それでも方程式は使わないほうがいいでしょう。
なぜなら、算数と数学では思考法がそもそも違うのです(詳しくは、別の記事でお話しします)。

そのため、方程式のやり方を理解したとしても同じような思考法を別の問題や単元で生かすことができません。結果、習っていること、身につけたものが積み重なっていかないのです。
そのような状態では塾の授業に参加していてもあまり意味がないことでしょう。

また、テキストや模試の解答・解説には方程式のようなやり方は一切載っていません。
そのため、自分で解き直そうと思ってもやり方がよくわからない状態になってしまいます。
お父さんやお母さんがいつでも教えられるような状態であれば問題ありません。

しかし、お仕事などをされているなか、そんなことはできるでしょうか?


厳しい言い方かもしれませんが、中途半端に教えれば、子どもは混乱し理解が遅れるだけです。
そうなるくらいなら「勉強は塾の先生に聞いてきなさい!」と言ってあげてください。
そして、そのためのサポートをしてあげてください。
通塾日に、早めに塾へ送り出すことで質問の時間を確保する、通塾日ではない日に塾の自学室へ連れていくなどいろいろあるはずです。

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