三平方の定理とは,直角三角形のおいて,\(a^2+b^2=c^2\)が成り立つ公式です。
証明方法が100個以上ある公式ですが,
本記事ではその中から中学校の知識で証明可能なものを
いくつかご紹介します。
正方形と直角三角形を使った証明①
教科書に載っていることが多く,有名な証明方法です。
まず,斜辺の長さが\(c\)で,その他の2辺の長さが
\(a\)と\(b\)である直角三角形を4つ用意します。
その後,以下の図のように三角形を組み合わせます。
組み合わせてできた大きい正方形の面積をSとし,
2通りの方法でSを出していきます。
先ほどの図形を1つの大きい正方形として見ると,
以下のような図形になります。
一片の長さが\((a+b)\)の正方形ですね。
\begin{align}
S & = (a+b)^2 \\
& = a^2+2ab+b^2 \\
\end{align}
よって,大きい正方形の面積は
\( a^2+2ab+b^2\)。
大きい正方形を,黄色の直角三角形4つと
緑色の正方形に分け,面積の和を求めます。
\begin{align}
S & = 直角三角形×4+小さい正方形\\
& = \frac{1}{2}ab×4+c^2 \\
& = 2ab+c^2 \\
\end{align}
よって,大きい正方形の面積は
\( 2ab+c^2 \)。
①と②は共に大きい正方形の面積を表しているので,値は等しくなります。
①=②の等式を解くと,三平方の定理の証明が完了します。
\begin{align}
①& =②\\
a^2+2ab+b^2 & = 2ab+c^2\\
a^2+b^2& = c^2 \\
\end{align}
正方形と直角三角形を使った証明②
教科書によく載っている証明方法の2つ目です。
直角三角形を4つ用意する所までは同じです。
その後,以下の図のように三角形を組み合わせます。
先ほど同様,組み合わせてできた大きい正方形の面積をSとし,
2通りの方法でSを出していきます。
図形を1つの大きい正方形として見ると,
以下のような図形になります。
一片の長さが\(c\)の正方形ですね。
\begin{align}
S & = c^2 \\
\end{align}
よって,大きい正方形の面積は
\( c^2\)。
大きい正方形を,黄色の直角三角形4つと
緑色の正方形に分け,面積の和を求めます。
\begin{align}
S & = 直角三角形×4+小さい正方形\\
& = \frac{1}{2}ab×4+(a-b)^2 \\
& = 2ab+a^2-2ab+b^2\\
& = a^2+b^2\\
\end{align}
よって,大きい正方形の面積は
\(a^2+b^2 \)。
①と②は共に大きい正方形の面積を表しているので,値は等しくなります。
①=②を等式の形にすれば,三平方の定理の証明が完了します。
\begin{align}
①& =②\\
c^2& =a^2+b^2& \\
\end{align}
台形と直角三角形を使う証明
次は,台形と直角三角形を使います。
直角三角形を2つ用意。
その後,以下の図のように三角形を組み合わせます。
そして一本補助線を引きます。
組み合わせてできた台形の面積をSとし,
2通りの方法でSを出していきます。
組み合わせた図形を台形としてみると,
以下のような図になります。
上程と下底の長さが\(a\)と\(b\)で,
高さが\((a+b)\)の台形ですね。
\begin{align}
S & =\frac{1}{2}(a+b) (a+b)\\
& = \frac{1}{2}(a^2+2ab+b^2) \\
& = \frac{1}{2}a^2+ab+\frac{1}{2}b^2\\
\end{align}
よって,台形の面積は
\(\displaystyle \frac{1}{2}a^2\)\(+ab+\)\(\displaystyle \frac{1}{2}b^2\)
②図形を分割して求める
台形を,黄色い直角三角形2つと
緑の直角三角形1つに分け,面積の和を求めます。
\begin{align}
S & = 黄色の直角三角形×2+ 緑の直角三角形\\
& = \frac{1}{2}ab×2+\frac{1}{2}c^2 \\
& = ab+\frac{1}{2}c^2\\
\end{align}
よって,台形の面積は
\(ab+\displaystyle \frac{1}{2}c^2\)
①と②は共に台形の面積を表しているので,値は等しくなります。
①=②の等式を解くと,三平方の定理の証明が完了します。
\begin{align}
①& =②\\
\frac{1}{2}a^2+ab+\frac{1}{2}b^2 & =ab+\frac{1}{2}c^2\\
\frac{1}{2}a^2+\frac{1}{2}b^2 & =\frac{1}{2}c^2\\
a^2+b^2& = c^2 \\
\end{align}
相似を使った証明
今度は,直角三角形を1つだけ用意。
上の頂点から,下辺に垂線を引き図形を2つの
直角三角形に分けます。
このままだと見づらいので,並び替えます。
黄色,緑,青の三角形は全て相似です。
相似比は\(a\):\(b\):\(c\)なので,
面積比は\(a^2\):\(b^2\):\(c^2\)。
黄色と緑の図形の面積を合わせると,青い図形の面積になります。
よって,\(a^2+b^2 =c^2\)。
最後に
中学生で習う範囲で三平方の定理を証明しましたが,いかがだったでしょうか。
高校数学や大学数学でも必須の単元なので,是非覚えておきましょう。
更新情報
2024/8/20
文字マーカー漏れにマーカーを引きました。
一部の文章を修正しました。