倍数の証明の基本
「〇〇は△の倍数である」という証明は,
以下の形に表せれば完了です。
〇〇=△×(整数)
例えば,「Aは3の倍数である」という証明は
A=3×(整数)
という形にできれば,証明完了ということです。
2の倍数になる数の証明
「1の位の数が2の倍数である数は,2の倍数である」
ということを証明していきます。
(1の位の数が2の倍数である数)=2×(整数)
を証明できれば良いということになります。
問題
\( eが偶数の時,\)
\( 5桁の数 abcde が2の倍数であることを証明せよ。\)
証明
\( eは偶数なので,e=2n(nは整数)とする。\)
\begin{align}
abcde & = 10000a+1000b+100c+10d+e \\
& = 10000a+1000b+100c+10d+2n \\
& = 2(5000a+500b+50c+5d+n) \\
\end{align}\((5000a+500b+50c+5d+n)は整数なので,\)
\(2(5000a+500b+50c+5d+n)は2の倍数となる。\)
\(よって,eが偶数の時,5桁の数 abcde は2の倍数である。\)
3の倍数になる数の証明
「各位の和が3の倍数である数は,3の倍数である」
ということを証明していきます。
(各位の和が3の倍数である数)=3×(整数)
を証明できれば良いということになります。
問題
\(各位の和が3の倍数の時,\)
\(5桁の数abcdeが3の倍数であることを証明せよ。\)
証明
\( a+b+c+d+eの値は3の倍数なので,\)
\( a+b+c+d+e=3n(nは整数)とする\)。
\begin{align}
abcde & = 10000a+1000b+100c+10d+e \\
& = (9999a+a)+(999b+b)+(99c+c)+(9d+d)+e \\
& = 9999a+999b+99c+9d+a+b+c+d+e \\
& = 9999a+999b+99c+9d+3n \\
& = 3(3333a+333b+33c+3d+n)\\
\end{align}\((3333a+333b+33c+3d+n)は整数なので,\)
\( 3(3333a+333b+33c+3d+n)は3の倍数となる。\)
\(よって,各位の和が3の倍数の時,\)
\(5桁の数abcdeは3の倍数である。\)
4の倍数になる数の証明
「下2桁の数が4の倍数である数は,4の倍数である」
ということを証明していきます。
(下2桁の数が4の倍数である数)=4×(整数)
を証明できれば良いということになります。
問題
\(2桁の数deが4の倍数の時,\)
\(5桁の数abcdeが4の倍数であることを証明せよ。\)
証明
\( 下2桁が4の倍数なので,\)
\( 10d+e=4n(nは整数)とする。\)
\begin{align}
abcde & = 10000a+1000b+100c+10d+e \\
& = 10000a+1000b+100c+4n \\
& = 4(2500a+250b+25c+n) \\
\end{align}\((2500a+250b+25c+n)は整数なので,\)
\( 4(2500a+250b+25c+n)は4の倍数となる。\)
\(よって,2桁の数deが4の倍数の時,\)
\(5桁の数abcdeは4の倍数である。\)
5の倍数になる数の証明
「1の位の数が0か5である数は,5の倍数である」
ということを証明していきます。
(1の位の数が0か5である数)=5×(整数)
を証明できれば良いということになります。
問題
\(eの値が0または5の時,\)
\(5桁の数abcdeが5の倍数であることを証明せよ。\)
証明
\( Ⅰ e=0の場合\)
\begin{align}
abcde & = 10000a+1000b+100c+10d+0 \\
& = 10000a+1000b+100c+10d \\
& = 5(2000a+200b+20c+2d) \\
\end{align}\((2000a+200b+20c+2d)は整数なので,\)
\( 5(2000a+200b+20c+2d)は5の倍数となるため,\)
\( abcdeは5の倍数。…①\)
\( Ⅱ e=5の場合\)
\begin{align}
abcde & = 10000a+1000b+100c+10d+5 \\
& = 5(2000a+200b+20c+2d+1) \\
\end{align}\((2000a+200b+20c+2d+1)は整数なので,\)
\( 5(2000a+200b+20c+2d+1)は5の倍数となるため,\)
\( abcdeは5の倍数。…②\)
\(①②より,eの値が0または5の時,\)
\(5桁の数abcdeが5の倍数である。\)
6の倍数になる数の証明
「2の倍数かつ3の倍数ある数は,6の倍数である」
ということを証明していきます。
(2の倍数かつ3の倍数ある数)=6×(整数)
を証明できれば良いということになります。
6の倍数の証明は,5桁の数を使わずに証明します。
問題
\(xが2の倍数かつ3の倍数の時,\)
\(xが6の倍数であることを証明せよ。\)
証明
\( xは2の倍数なので,x=2m(mは整数)とする。…①\)
\( xは3の倍数なので,x=3n(nは整数)とする…②\)
\( ①の式を3倍,②の式を2倍し,差を計算。\)
\begin{array}{rrrr}
&3x &= & 6m&\\
-\large{)}&2x& = & 6n&\\
\hline
& x & = & 6m&-6n=6(m-n)
\end{array}\((m-n)は整数なので,\)
\( 6(m-n)は6の倍数となるため,\)
\( xは6の倍数。\)
\(よって,2の倍数かつ3の倍数ある数は6の倍数である。\)
8の倍数になる数の証明
「下3桁の数が8の倍数である数は,8の倍数である」
ということを証明していきます。
(下3桁の数が8の倍数である数)=8×(整数)
を証明できれば良いということになります。
問題
\(3桁の数cdeが8の倍数の時,\)
\(5桁の数abcdeが8の倍数であることを証明せよ。\)
証明
\( 下3桁が8の倍数なので,\)
\( 100c+10d+e=8n(nは整数)\)とする。
\begin{align}
abcde & = 10000a+1000b+100c+10d+e \\
& = 10000a+1000b+8n \\
& = 8(1250a+125b+n) \\
\end{align}\((1250a+125b+n))は整数なので,\)
\( 8(1250a+125b+n)は8の倍数となる。\)
\(よって,下3桁の数が8の倍数である時,\)
\(8桁の数abcdeは8の倍数である。\)
9の倍数になる数の証明
「各位の和が9の倍数である数は,9の倍数である」
ということを証明していきます。
(各位の和が9の倍数である数)=9×(整数)
を証明できれば良いということになります。
問題
\(各位の和が9の倍数の時,\)
\(5桁の数abcdeが9の倍数であることを証明せよ。\)
証明
\( 各位の和が9の倍数なので,\)
\( a+b+c+d+e=9n(nは整数)とする\)。
\begin{align}
abcde & = 10000a+1000b+100c+10d+e \\
& = (9999a+a)+(999b+b)+(99c+c)+(9d+d)+e \\
& = 9999a+999b+99c+9d+a+b+c+d+e \\
& = 9999a+999b+99c+9d+9n \\
& = 9(1111a+111b+11c+d+n)\\
\end{align}\((1111a+111b+11c+d+n)は整数なので,\)
\( 9(1111a+111b+11c+d+n)は9の倍数となる。\)
\(よって,各位の和が9の倍数の時,\)
\(5桁の数abcdeは9の倍数である。\)
10の倍数になる数の証明
「1の位の数が0である数は,10の倍数である」
ということを証明していきます。
(1の位の数が0である数)=10×(整数)
を証明できれば良いということになります。
問題
\(1の位が0である5桁の数abcd0が10の倍数であることを証明せよ。\)
証明
\begin{align}
abcde & = 10000a+1000b+100c+10d+0 \\
& = 10000a+1000b+100c+10d \\
& = 10(1000a+100b+10c+d) \\
\end{align}\((1000a+100b+10c+d)は整数なので,\)
\( 10(1000a+100b+10c+d)は10の倍数である。\)
\(よって,1の位の数が0である数abcd0が10の倍数である。\)