【埼玉県公立入試】2022年平均点が発表!数学と理科の問題考察。

先日,埼玉県公立高校入試の平均点が発表されました。

出典:彩の国埼玉県 令和4年度埼玉県公立高等学校入学者選抜に関する情報 ●令和4年度埼玉県公立高等学校入学者選抜実施状況【確定版】(令和4年4月28日掲載)(PDF:231KB)(2022/4/29閲覧)

去年との差はこんな感じです。

埼玉県公立入試平均点。2022(令和4年度)

理科以外の4教科の平均点が下がり,合計では30点以上下がっていますね。

これだけ見ても,今年が難しかったのか去年が簡単だったかの判断ができないので,過去5年分をグラフに表してみました。

埼玉県公立入試平均点推移グラフ。2022(令和4年度)

こうして見てみると,去年と一昨年の平均が高かっただけで,今年の平均点はそんなに高くないことが分かりますね。

本記事では,今年の数学と理科の入試問題について,考察してみたいと思います。

数学

大問1:小問集合
例年通り基本的な内容ばかりでした。
どれも受験対策テキストでよく見る問題ばかりで,得点が期待できる内容ですね。

大問2:作図,関数
作図で取れなかった人も多かったのではないでしょうか。
難しくはないのですが,三平方の定理との複合問題なので,しっかりと受験対策をしていないと難しい問題でした。
関数は例年と同程度の難易度だったと思います。

大問3:確率,関数
私の知る限り,埼玉県公立入試で確率と関数の複合問題が出たのは初めてでした。
見たことがないので何をすれば分からない」という人も多かったようです。
ただ,問題文から関数で解くことができると気づければ,そこまで難しい内容ではありませんでした。

大問4:平面図形
補助線を見つけなければならず,難易度がかなり高かったです。
証明については,教科書ではよく見る問題ですが過去問題ではほぼ見ないものでした。

去年と一昨年の問題を見た時,「埼玉県の数学の平均は40点から50点」という法則は崩れ去ったのだと思いましたが,戻りつつある……のですかね。
個人的には今年くらいの難易度が今後も継続してほしいと思っています。

全体感としては,難しい問題は少ないものの,近年の埼玉県の数学ではあまり見かけない問題が多かった印象です

3年前までは「埼玉県の数学はこのパターンをおさえておけば大丈夫だ!」という鉄板パターンもあったのですが……時代の流れを感じます。
(昔は「埼玉県の数学は折り返しがよく出る!」と言われたものですが,最近めっきり見なくなりました。)

理科

大問1:小問集合
例年通り「基本的な内容の確認」でした。

大問2:地学(天体)
学習時期:中学3年生。
問3から難易度が跳ね上がりました。
正確には難易度は高くはないのですが,とにかく「あまり見たことがないから解きにくい」という問題でした。

大問3:生物(消化と九州)
学習時期:中学2年生。
pHの問題以外は学校の定期テストで出てくるような基本的な問題でした。
問題文も出てくる図も頻出されるものが多く,得点を期待できる内容でしたね。

大問4:化学(気体の性質)
学習時期:中学1年生。
気体の性質に特化した問題でした。
例年,化学の問題は中学1年~3年の知識を幅広く問うケースが多いのですが,今年の問題は中学1年生の知識だけでほぼ解けてしまう珍しいケースだったのではないかと思います。
ただ,最後の問題は「知らない内容について,文章から手がかりを見つける」という問題だったので,苦戦した生徒も多かった印象です。

大問5:物理(力)
学習時期:中学1年生。
ばねの問題が来てしまいましたね……。
個人的な感想ですが,物理でもっとも難しくなるのはばねの問題だと思っています。
今年出題された三平方の定理と絡めた問題以外にも,浮力との複合問題など,内容が難しく鬼門となる問題です。
問題毎の正答率は発表されないので確かめる術はないですが,正答率は高くないはずです。

傾向形式共に大きな変化はなく,問題が少し長くなった,くらいでしょうか。

しかしながら近年,別単元の複合問題が増えているような気がします。

埼玉県の理科は,現時点では大問ごとに単元が決まっています。
(大問1は小問集合,大問2は地理,大問3は生物,大問4は化学,大問5は物理)

何年か前までは「生物の大問は,生物の知識だけあれば解ける」という問題が多かったです。

しかし近年,単元を超える主題傾向が増えつつあります。

例えば,今年の生物の大問で「血液のpHの変化」を問われていますが,pHの変化は教科書上生物ではなく化学の知識です。

生物でもBTB溶液の変化については触れていますが,明確にpHの問題が出てくることはありません。

そもそも,pHの概念を習うのは中学3年生なので,応用問題としても中学2年生までは出てこないわけです。

こういうことを考えると,改めて「教科書の内容をしっかり覚えれば受験は大丈夫」という時代は終わったんだなと感じてしまいます

応用の効く学生であれば難なく解くことができると思いますが,ほとんどの学生は「類題を解いたことのない問題」には対応できません

やはり,受験対策テキストはしっかりと演習するべきですね。

……今のテストに対して批判的な感じになってしまいましたが,私は今のテストの方が好きです。

理科の知識,文章読解力,応用力の全てが試される今のテストは,ただ暗記すれば解けていたテストよりも面白みを感じます。

最後に

個人的な予想は,数学45点,理科50点でしたが,結果はそれよりも高かったですね。

問題難易度の感覚がずれると誤った指導内容になってしまうので,大きな反省点です。

同僚の社会の講師は「社会の平均は10点くらい下がる」と言い当てていました。

精進しなければなりません。