先日,こんな質問をされました。
「比例の式(\( y=ax \))の\( a\)は,比例の定数だから比例定数ですよね?
反比例(\( y= \displaystyle\frac{a}{x}\ \))の\( a\)は,なぜ比例定数というんですか?」
「反比例は比例ではないのだから,比例定数ではなく反比例定数と呼ぶべきでは?」
反比例定数という未知の用語は置くとして,
今回は比例定数について書いていきたいと思います。
比例定数とは
比例の式を\( y=ax\)という形で表したとき
「\( y\)は\( x\)に比例する」といい,\( a\)の部分のことを比例定数といいます。
比例の式の\( a\)の部分を「比例の基準となる値」という意味で
比例定数と呼んでいるわけですね。
では反比例の式はどうでしょうか。
反比例の式(\( y= \displaystyle\frac{a}{x}\ \))は
\( y=a× \displaystyle\frac{1}{x}\ \)という比例の形に変形することができます。
この時は「\( y\)は\( \displaystyle\frac{1}{x}\ \)に比例する」といい,
先ほどと同じく\( a\)の部分のことを比例定数といいます。
数式だけだとわかりにくいので,具体例を用いてみます。
比例の比例定数
比例とは「一方の値が2倍,3倍になると,もう一方の値も2倍,3倍になる」
という関係のことを言います。
例えば,変数\( x\)と変数\( y\)の関係が以下の表のような関係だったとします。
\( x\)の値が2倍,3倍になると,
\( y\)の値も2倍,3倍になっているので,
比例の関係だとわかりますね。
ここで,\( y\)は\( x\)の関係を見てみると,
\( y\)は\( x\)の2倍の値なので,
\( y=2x\)と表すことができます。
比例の式に表すことができたので,比例定数は2となります。
反比例の比例定数
では次に,反比例の関係を見ていきましょう。
反比例とは,
「一方の値が2倍,3倍になると,もう一方の値が\( \displaystyle\frac{1}{2}\ \)倍,\( \displaystyle\frac{1}{3}\ \)倍になる」
という関係のことを言います。
このままだと\( y=ax\)の形に表すことができないので,
中間に\( \displaystyle\frac{1}{x}\ \)を追加します。
表の値の位置を少し入れ替えます。
\( \displaystyle\frac{1}{x}\ \)と\( y\)の関係を見てみます。
\( y\)と\( \displaystyle\frac{1}{x}\ \)が比例の関係であり,
式で表すと\(y=24× \displaystyle\frac{1}{x}\ \)と表すことができます。
比例の式に表すことができたので,比例定数は24となります。
最後に
ついでなので調べてみたところ,文部科学省HPに以下のような記載がありました。
出典:文部科学省 中学校学習指導要領解説 【数学編】中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 (2022/4/15閲覧)
細かい内容もしっかり書いてくれているんですね。
こういう言い方だと元も子もありませんが
「国が決めた(認めた?)から反比例の\( a\)も比例定数だよ!」
という言い方もできますね。
まぁ仮にも数学をかじっている身としては絶対に言いませんが(笑